この手を伸ばして。

3次元の世界にいながら届きそうで届くことのない2次元にも思える5人組に対する、まあ、だいたい自己満足です。

1時間目:二宮先生「トイレットペーパーの芯の可能性」

櫻井先生の前振りでスクリーンが黄色くなり、二宮先生の写真が映る。

 
二宮:はい、1時間目はわたくし、二宮の授業になります。助手は濵田くんです。
濵田:よろしくお願いします。
 
二宮:今回「自由」研究、各自が興味を持ったことを自由に研究していいということで、先生、子どもの頃に興味を持ったものについて研究しようと思いました。
それで先生ね、子どもの頃、トイレットペーパーの芯に興味を持ったことを思い出しました。
(スクリーンに画面に向かって満面の笑みを浮かべる二宮少年の写真が映る。)
二宮:かーわーいーい!!!
(会場の誰よりも大きな声で絶賛し、スクリーンに顔がつくほど近づく。)
二宮:かわいいね!
それで先生、この写真の小学3年のとき、糸電話に取り組み、作りました。小4、小5、小6と作り続けました。
濵田:変えましょうよ!
二宮:変えたよ!色を!
とにかくですね、先生は突き詰めたわけですよ!ひとつのことに。 ……と、いうことで、先生の研究は「トイレットペーパーの芯の可能性」についてです。
 
二宮:トイレットペーパーが普及したのは今から35年前。割と最近ですね。水洗便所が普及してからになります。それからというもの、日本では平均して1年間に1人あたり53ロール消費しているという計算になります。
1人×53ロール を 日本全体で考えてみると、毎日、1日に900万ロールものトイレットペーパーが消費されているということになり、つまり、900万個の芯が生まれているということになります。
ちなみに、4万5000人で考えてみると、今日1日だけで6000ロールになるのね。
と、いうことはハマちゃん!
濵田:(6000個のトイレットペーパーの芯が積み上げられた台車を運んでくる。)
二宮:ねえ、見てー?わかりやすいでしょー?
濵田:わ、わかりやすいです。
あれ(トイレットペーパーの芯)1個だと軽いけど、これ(6000個のトイレットペーパーの芯)わりと重いっす。
二宮:これだけ集まるともったいないですよね?何か別の使い方ができないかなー、と思うわけです。
ということで生徒の皆さん!宿題やってきましたかー?
「トイレットペーパーの芯の新しい使い方について考えて、作ったものをメールで送ってください」というものだったのですが。送られてきた作品を見てみようか!
(作品の中でも素晴らしかった作品が7つくらいスライドショーで紹介され、他の先生や助手が感嘆の声をあげます。)
優秀作品100作については、J-Storm上で公開されているので確認してみてください。
 
二宮:山中教授と京都大学iPS細胞研究スタッフも作品を作ってくださいました!これです、どうぞ。
(濵田が作品を持ってくる。)
二宮:「iPS細胞を説明する模型」です!
櫻井:おぉー?
二宮:(滑り台のような模型の上部からビー玉を転がすと、ビー玉が六股くらいに分かれた降り口のひとつに転がり落ちる。)
ハイ、コレです!
濵田:素晴らしい!
二宮・濵田以外:………は?
櫻井:何か、ビー玉が落っこちただけっすけど……。
二宮:何を言っているんだ?!
このようにね、何も役割を与えられていない細胞(ビー玉)に役割を与える(のがこの模型、降り口にはB細胞などの名前があり、滑り終わると細胞が変化する。)ことができるんだけど、たまに足りない細胞が出てきたりするわけ。それを補ってくれるのがこのiPS細胞。iPS細胞、つまり万能細胞は(滑り台の行き着く先の)どの細胞になれるので、足りない部分を補ってくれるわけです。
二宮・濵田以外:なるほど。
二宮:じゃ、相葉くん説明お願いしまーす。
相葉:あの、えっと、
二宮:もういいでーす。
相葉:え、ちょ、おい!!!
濵田:聞きもせず?!せめてもう少し……。
二宮:わからなそうだったんでいーいです。
 
二宮:でね、トイレットペーパーの芯で楽器が作れるんです!「ストリングラフィ」という楽器なのですが、奏者の先生をお呼びしています。水嶋一江先生とストリングラフィアンサンブルのみなさんです。
(水嶋一江さんとストリングラフィアンサンブルのメンバー2名の計3名が登場。)
(会場内にトイレットペーパーの芯で作ったストリングラフィが3塁側に登場。センターステージから離れ、ストリングラフィが設置されたステージへと移動する二宮・濵田。)
二宮:原理は糸電話と同じなんですよね。
水嶋:そうなんです。今回はトイレットペーパーの芯で作ってみました。(※ストリングラフィは通常、紙コップで作る楽器。ピンと張った一本の糸にいくつかのトイレットペーパーの芯を通し、芯と芯の間隔を変えることで音の高低の差が出る仕組み。)
二宮:弦楽器にちかいかな。
櫻井:はいはい質問です!これってどこの国の楽器なんですか?
水嶋:日本というか、1992年に私が作った楽器です。
相葉:えっ、楽器屋さんで買えるんですか?
水嶋:楽器屋さんでは買えないけど、自分でトイレットペーパーを買って、その芯で作ることができます(笑)
櫻井相葉:あー、そっかぁ!(笑)
水嶋:今回は会場用に大きいサイズで作りましたが(テニスコート1面分くらい)、バイオリンとかのサイズにすることもできますし、そうすると高い音が出ます。
櫻井:へえー!
水嶋:擦っても弾いても音が出るんです。(いくつか音を鳴らす。)
(演奏用に白い手袋をはめた二宮は、音を鳴らす水嶋先生の後ろでおもむろにスタンバイ。水嶋先生が最後の一音を伸ばしたタイミングで、頭の上に持ち上げていた左手を弧を描くように優雅に下ろし、カメラ目線。水嶋先生も笑いながら二宮の真似をする。)
二宮:筒の幅が広がると低い音が出るんですよね。
水嶋:そうなんです。
(ここで水嶋先生が糸を擦って音を出す。水嶋先生の後ろに濵田(画面左側)・二宮(画面右側)が並び、スタンバイ。水嶋先生が最後の一音を擦ると、濵田・二宮は頭の上で重ねていた両手を弧を描くように優雅に下してばっちりカメラ目線。水嶋先生も、最後の一音の余韻を残しながら弧を描くように両手を下ろし、笑顔。)
櫻井:それ(手振り)要る?!
二宮:演奏の一部ですよ!!
 
二宮:ではここで、わたくしから皆さんに音楽のプレゼントをしたいと思います。皆さんご存知、ワクワク学校の校歌を水嶋先生とストリングラフィアンサンブルのおふたりとわたくしと助手で演奏したいと思います。
松本:それって、簡単に音が出るものなの?
二宮:そうなんですよ!だから、なんかすごい、あの、プロになった気分。
大野:振動ってくるの?
二宮:きますねえ。だからすごくたのしい。
濵田:ほんと、指一本で音が鳴らせるんですよ。(指一本で音を鳴らしてみせる。)
二宮:……ふふ(笑)。今ね、先生たち(濵田以外の4人)ほくそ笑んだ(笑)。
櫻井:ふつうは(指一本で)やらない?
二宮:やらないっす(笑)。
 
二宮:では、お聴きください。
(二宮が糸を擦り、小鳥のさえずりのような音を奏でて演奏開始。校歌である「ふるさと」を5人で演奏。)
(どの奏者の方も全身を使って演奏されるので、それを真似する二宮くん・濵田くんが、ゆらゆらと体を揺らしながら糸を擦ったり、糸を擦る時に顔を引き寄せ、離すときに顔も遠ざけたり。真剣な顔、ほっとしたような顔など、表情も込みで全身で演奏している姿がなんともかわいらしい。曲の最後にカメラが二宮くんに寄ると120点満点のドヤ顔をし、最後の一音をゆったりと余韻をもたせて伸ばし、止めるまでドヤ顔を続け、音が止まるとキメ顔。)
(演奏後、拍手が起こる。)
櫻井:素晴らしい!!!パーフェクト!!!
大野:よかったー!!!
松本:今までで一番良かった!!
二宮:よかったよね?!
櫻井:スゲェよかった!昼間(の講演かな?)グラグラしてたから(心配していた)!
二宮:よかったああ!!
水嶋:あの、私も演奏してみて新たに発見したことがあります!新しい(トイレットペーパーの芯)のより、振動を与え続けたほうが良い音がでます。
二宮:へえ!ちなみにこれは何時間(振動を与えたのですか)?
水嶋:150時間です。ここ1ヶ月ずっと練習してたので……。
松本:音の相性もあるわけだねえ。
 
二宮:水嶋先生とストリングラフィアンサンブルの皆さんでした!ご協力いただきありがとうございました。
(水嶋先生とストリングラフィアンサンブルのおふたりが退場。)
(3人の退場を見送り、センターステージに戻る二宮・濵田。2人がセンターステージに戻る間、ストリングラフィの練習に格闘する二宮の写真がスライドショーでスクリーンに映る。)
二宮:水嶋先生が慣らしてくれるからこそ、わたしのような初心者でもあんなに素晴らしい音を出すことができるわけです。糸もね、絹糸を使っているんです。それで良い音が出るんだよね。
松本:使い方だねえ。
二宮:そうだね、本当に。
 
*二宮先生、まとめに入ります。
二宮:トイレットペーパーの芯の可能性について考えてみました。元々は、トイレットペーパーをロール状にして回転させやすくするためのものです。だから捨てても問題はないんですね。でも、こうやって新しい活用方法を考えてみれば、ありとあらゆることに形を変えることができます。可能性は無限です。
「自由」研究ということはつまり「自由」に研究したり考えていいわけで、どんなものでもいいし、どんなことをしてもいいんだよね。人から何を言われても、こだわり続けることも大切だと思うんです。
かつて、ライト兄弟という兄弟がいました。彼らは、幼いころから「飛行機をつくる」という夢を持ち、それにこだわってきました。周りからバカにされても、飛行機なんてできるわけないと言われても研究を続けていたら飛行機がつくれたんです。「やり続けていたら」でまた偉人がいます。イチロー選手は幼いころから「メジャーリーグに行く」と思い、練習をし続けてきました。周りから、メジャーなんか無理だって言われてもからかわれてもバカにされてもバットを振り、練習を続けました。それで今、メジャーリーガーです。
たとえばね、タイムマシンとか、どこでもドアとか。今の技術では無理だって出来ないと思われているものも、誰かが信じてやり続ければ、いつの日か本当にできるかもしれないって先生は思います。
それでは今日のまとめです。
 
「どんな物にも 大きな可能性が 眠っている   和也」
 
 
二宮:これで授業を終わりにします。助手の濵田くん、ありがとうございました。続いてはこの先生です。
 
 
 

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